
はじめに:言葉の定義(グラフィックレコーディング・イラストレポート)

「グラフィックレコーディング」という言葉の定義は描き手の間でも曖昧なところがありますが、私の場合は「人々の対話や議論の内容を聞き分け整理しながら、リアルタイムでグラフィックに変換し、記録する」手法と定義しており、リアルタイム性を含んだ言葉として使っています
(清水淳子「議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」2017より)
そして、リアルタイムに話の内容を視覚化してフィードバックする以上、多少なりともファシリテーションの役割を担っていると考えています。
※ご注意
ここでの言葉の定義は、関が個人的に使用しているものです。
他の方が使用されている場合、違う意味で使われている場合もありますのでご注意ください。
話の内容の視覚化、目的別の2つの方法
「グラフィックレコーディングをお願いしたい!」と言っていただいたものの、お話をうかがったところリアルタイムの視覚化(グラフィックレコーディング)ではなく、実は後からの描き起こし(イラストレポート)の方がお役に立てる場合があります。
①リアルタイムで描いたほうが良い場合(=グラフィックレコーディング)
配信イベントでリアルタイムの制作を行い、画面を配信することでの効果は主に
①登壇者の対話、議論のファシリテーション(促し)
「グラレコ見てて思ったんだけど…」「これまでの話をまとめると…」
②参加者の理解促進
「そうか、今そういう話をしていたんだな」「途中から参加したけど何となくこれまでの話に追いつける」
③参加者のアーカイブとの接続・親近感
「あ!あの時描いていたグラレコだ。このイベントのアーカイブ、知り合いに見せたかったんだよね」
の3つがあります。
イベントの内容の視覚化の目的が、制作物の「伝わりやすさ」より、上記3つの効果が大きいときはリアルタイムでの制作をオススメしています。
②後日描いたほうが良い場合(=イラストレポート)
一方で、制作したグラフィックは当日は配信せず「完全に後日、アーカイブとして活用したい」という目的の場合は、リアルタイム性は必要なく、より質の高いグラフィックを完成する方が重要ですので、後日の描き起こしをオススメしています。
(この場合、正確にはリアルタイムの視覚化ではないので私は「イラストレポート」と呼んでいます。)
▼基本的な流れ
- 動画の文字起こし…全体の内容を把握
- ラフ制作…「伝える」ことを目的として、内容を再構成してレイアウトや表現を決定
- 清書…確定したラフをもとに、内容を精緻化
ただ、こちらのパターンは「伝える」スキルがより重要になってくるので、グラフィックデザイナーやイラストレーター、漫画家といった「伝える」プロフェッショナルの領域のお仕事になってきます。
その場合はリアルタイムの構造化や視覚的表現が得意な私より、上記のような「伝える」スキルをお持ちの方がより良いお仕事をされる可能性が高いと考えています。
配信イベントには、それぞれ開催の目的や「どんな人に、どうなってほしい」という主催者や事務局の願いが込められていると考えています。
その目的や願いが最大限に届くような視覚化をサポートさせていただきたいと思っていますので、まずはお問い合わせからご連絡ください。
ご依頼の内容や目的をうかがい、「どんな視覚化が、そのイベントの目的達成には必要か?」というご相談をさせていただけたら幸いです。