発表の「質感」をフィードバックするグラフィックレコーディング/東京プロジェクトスタディ(Tokyo Art Research Lab)

プロジェクト紹介

概要

制作時期:2021年2月
ご依頼者様:東京プロジェクトスタディ1
制作したもの:オンラインでのプレゼンテーションのグラフィックレコーディング、その解説資料

  • いただいた期待
    ・発表の場で、ふり返りや対話の土台となること
    ・その場にいない人にも発表の「質感」が伝わること
  • 取り組んだこと
    ・非言語表現を含めた、プレゼンテーションのグラフィックレコーディング
    (解釈の余白を残す、視覚的表現を中心とした描写)
  • 実ったこと
    ・参加者がそれぞれの発表を受け止める、解釈をする際に参考となる視点が増えた
    発表のコンセプトや内容を伝える記録が残り、アーカイブとしての活用されている

取り組みについて

実験の様子(プロジェクト紹介ページより)

アートプロジェクトに関する人材の育成、現場の課題に応じたスキルの開発、資料の提供やアーカイブなどを通じ、社会におけるアートプロジェクトの可能性を広げることを目指しているプログラム、Tokyo Art Research Lab。

そのなかでアートプロジェクトの核をつくるための実践の一つとして、「思考と技術と対話の学校」という取り組みがあります。

誰かとなにかを「つくる」うえでは、コミュニケーションが欠かせません。
2020年度に行われたSTUDY1では、「つくる」うえでのコミュニケーションや身体性について実験・実践を重ねました。

誰かと何かをはじめようとするとき、考えや視点の違いを理解しながら、
互いのイメージを擦り合わせ、どうやって共につくっていこうかと議論を重ねる。
文化的にも社会的にも、そして身体的にも異なる経験を持つ者同士が、
お互いの差異と経験を想像しながらコミュニケーションをはかること。
日々、アートプロジェクトの現場で起こっている光景です。
そして、そのコミュニケーションの密度や共に経験した時間が、
プロジェクトをより豊かなものにすると言っても過言ではありません。
コミュニケーションとは、“ことば”に限ったものではなく、
むしろ、表情やしぐさ、声色、動き、間など身体を用いた非言語の領域が、
日々のコミュニケーションに大きな影響を与え、補い、支えているのではないでしょうか。

いま、思い立って誰かに会いに行く。
互いに目を見合い、相手の息づかいを感じ、何気ないしぐさを眺めながら話をする。
そんな当たり前のことが気軽にできなくなって久しい状況のなかで、
改めて「コミュニケーション」や「身体性」について考えていく必要があるのではないか。

本スタディでは、写真家、ダンサー、インタープリター(通訳者・解釈者)とともに、身体性の異なる人々の世界に触れながら、
“ことば”による表現だけではないコミュニケーションの在り方を探り、
その可能性について考えていきます。

東京プロジェクトスタディ STUDY1「共在する身体と思考を巡って」東京で他者と出会うために

アラワス(関 美穂子)は、STUDY1の第10回、最終回直前のメンバーによる成果物共有の場に参加しました。

パフォーマンス、企画書の共有、プレゼン、展示…
メンバーはそれぞれがこのスタディから掴もうとしているもの、育もうとしているもの、創り出そうとしているものの試作を発表を行いました。

発表の様子(プロジェクト紹介ページより)

グラフィックレコーディングではそのプレゼンテーションをその場で解釈し、「コンセプトビジュアル」として再度非言語で表現し共有。

解釈の余白のある「コンセプトビジュアル」が、その場では参加者がそれぞれのプレゼンテーションを受け止め、語り合う土台となり、その後はアーカイブとして発表のあり方、内容の質感の部分を伝える記録となりました。

制作物

制作データ

後日お届けした「お手紙」

今回は後日、参加者の皆さんに「お手紙」を送りました。

グラフィックレコーダーの関がそれぞれのプレゼンテーションから何をうけとり、どう表現したか。
眼差しや、受け取ったものの解説を共有することで、もう一度自分の、他の参加者の発表をふり返る時の「見方」を増やします。

プロジェクト参加者のお手紙

■全体を通して描いたもの
今回はスタディに初めて参加した私から見て、皆さんが掴もうとしているもの、育もうとしているもの、創り出そうとしているものを抽象化して表現しました。

(描かなかったもの)
・発言や動きの具体的な詳細
・発表者の似顔絵、表情
・きれいに整理された記録

■大塚さん
発表(パフォーマンス)を見て聞いて、受け取った情報から大塚さんが何に挑戦しているかを表現しました。
ポンポンと跳ねるような点線は、右手で描いた時のリズム、ギザギザとした直線は左手で描いた時のリズムです。参加者がZoomの枠から、大塚さんの発表を見ようとする強さや探索感を黄色の矢印であらわしました。
背景の青い粒は、音の粒です。

■十代田さん
十代田さんが何にワクワクを感じているか、を表現しました。それぞれの「じぶん語」がリレーされてつながり、紡がれている様子や、その過程でのお互いの化学反応の熱やパチパチ弾ける様子、そこからまた個のなかで生まれるそれぞれの反応をあらわしました。背景の青い模様は、生まれて繋がり混ざりゆく雲です。

■山田さん
山田さんが主人公で語りかける「面白い遊びのお誘い」を表現しました。
ご自身のなかにある焚き火から、お手紙のように火の粉が飛んでいって、それを受け取った人は顔がない人間型のシルエット(他者)から、個別の誰か(他人)になる。火の粉がチリチリと飛んでいって、伝播していく面白さをあらわしました。

■鍾淑婷さん(すーちゃん)
4つのやってみたいことに共通している、ショウスーティンさんが何に惹かれているか?を表現しました。
私たちは「何かを取り込んで、仕上げて、外に見せる用に準備したわたし」同士でコミュニケーションしている。それが例えるなら身体の外側だとすると、食べたものを消化している、消化管どうしでコミュニケーションして消化中のドロドロの体液同士でコミュニケーションする面白さに惹かれていることかもしれない、と受け取りあらわしました。背景の青い模様は、そんなコミュニケーション中のぐちゃっとしたものです。

皆さんがSTUDY1の実験・実践の冒険の旅で見つけた「宝のかけら」は、旅路の仲間どうしでのフィードバック、というコミュニケーションを通してより輝きを増したように感じました。

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「まだプロジェクト化していないんだけど、早めに相談しておきたい」

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